『小森生活向上クラブ』レビュー

【STORY】
会社でも家庭でも、うだつの上がらない小森正一。ある日、痴漢でっち上げ常習犯の女を、駅のホームから線路へ突き落としてしまう。その日以来、小森は別人のように生き生きとし始め仕事も家庭生活も絶好調。
そして部下を引き連れて同盟を結成し、次々と社会の悪に報復していく。
【レビュー】
自分の正義に目覚めたサラリーマンによるブラックコメディ。原作は 室積光。
意外にも映画初主演の古田新太、共演は『バトルロワイアル』『キル・ビル』の栗山千明>、『バトルロワイアル2』の忍成修吾。佐野史郎、豊原功輔も脇を固めている。また、出番は少ないが小森の息子役に『ひぐらしのなく頃に』の前田公輝もいて、キャストの幅は広い。
のっけからかなり軽快な音楽が鳴り響き、期待感は膨らむ。かと思えば元気のないサラリーマンの日常が描かれテンションはかなりダウン。しかし、全てのきっかけとなった勘違い迷惑女を線路に蹴り飛ばすシーン以降、活力も精力も満たされていく、という流れ。ゆえに中年カップルの性描写もあるが、萎えるというよりは苦笑いの範疇。

一度境界を超えてからは早いもので、非合法な場所で銃を買い込み、マーロン・ブロンドを気取りつつ?ひたすら練習(発砲ではなくホルスターから抜く)。しかし、40年近くを常識人として生きてきたためか、葛藤もちらほら垣間見える。言うことを聞かない部下・北沢(忍成)の眉間に出社一番で弾丸を撃ち込んだと思ったらそれは想像だったり、という具合。
家庭も社会的地位もあるので、いきなり2重生活上等な殺し屋風情になられても困るけれども、こういう題材の映画ならもっと突き抜けてほしい感もあった。
お金を騙し取られた北沢を連れて、新宿のボッタクリバーの連中を皆殺しにするワンカットシーンを始め、映像には拘りが見られる。通常の会話シーンも漫画の吹き出しみたいにされている箇所もあり、コミカルだった。
中盤以降、小森を会長としたKSCが発足するのだが、組織(笑)増員の要となっているのは部下の静枝(栗山千明)。

やはり彼女は殺伐とした作品に癒しを与える役よりは、より暴力を加速する役がよく似合う。多くの男と関係を持ち(描写は北沢とだけ)、組織に引き込んでいく魔性さは流石。小森の理念に共感しイメチェンをしたとあったが、元々男を手玉に取れるルックスだったならあまり意味はなかったかも。
当の本人である小森が置いてきぼりにされ、周りの人間がどんどん熱くなっていく様は本末転倒な気もしたが、それも含めて面白く描かれている。
最初はこの作品の見所は残酷な描写オンリーだと思っていたが、それ以外の部分も割りと楽しめた。キリスト(風)の男や変な外人まで登場する小森の心理描写など変てこなシーンもあったが、全体的には邦画として悪くない作品だった。


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